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UMEKITA PROJECTうめきた開発!「知る」ことから始める街づくり。縦割りの街に横ぐし刺す「うめらく」誕生秘話

コラム うめきた楽市楽座 うめきた開発 うめらく コミュニティの作り方 街に関わる

細川 細川

2024年夏に街びらきを予定している「うめきた2期開発地区」。

国内最大級の再開発プロジェクトといわれているのに、当の近隣住民はまだまだピンとはきていない状況が現実。

そんな状況に「知らずに待ってるだけなんてもったいない!」と、5年前から地域活動に参加しながら、大きく変わろうとする街のようすを住民目線で追いかけてきました。

今回の特集では、共に多くの地域活動でご一緒しているうめらくの山田まりこさんとこの5年間を振り返ってみたいと思います。

ぜひ、最後までご覧ください。

聞き手/文
ヒトト製作所 野坂大

登場人物

山田まりこさん

山田まりこさん

うめきたや中津など大阪市北区を中心にコミュニティの活性に向けて活動しているコミュニティオーガナイザー

細川

細川

オルガワークス専務。あらゆるプロジェクトを企画。

 

うめきた開発とは

元大阪駅の貨物ヤード跡地の大規模複合開発事業。2013年に先行してグランフロント大阪が開業しており、現在は2024年夏に街びらきを目指し(一部民間住宅、都市公園)、オフィス、ホテル、中核機能、商業施設、都市公園、住宅を建設中。2027年には全面開業する。

 

都会の大型再開発は遠い存在?関心をもつことの大切さ

〈聞き手/野坂 大(ヒトト製作所)〉

野坂
野坂
今日は、うめきた開発に関わる街のコミュニティづくりについて、お話を聞きにきました!

僕が街に関わる活動を始めた発端は、
2016年にはじまったうめきた開発エリアの暫定利用に、当時主婦で食の活動家だった山田まりこさんのお声がけで一緒に応募したのがきっかけですね。
細川
細川

山田まりこ プロフィール
うめきたや中津など大阪のキタエリアを中心にコミュニティの活性化を実践されている山田まりこさん。現在は3児の母として子育てをしながら、一般社団法人うめらく代表理事、地域福祉コーディネーター(地域職員)として、イベント企画、地域活動の運営支援、地域マーケティングによる都市研究や、ホップで繋がるコミュニティ「THANKS HOP」など、精力的に活動を行っている。

 

野坂
野坂
山田さんが、
街づくりに興味をもったきっかけはなんだったんですか?

ある時、
娘の幼稚園に議員さんが来られたことがきっかけなんです。

その頃は、全く街に興味がなかったのですが、

「この街に住んでいて、何か困っていることはないですか?」

と、聞かれたので、

「うめきた開発はこれからどうなるんですか?
と聞いたんですよ。

家のすぐ裏という、
これから住み続けるまちがどんな街になるのか気になって!

山田さん
山田さん

その議員さんは、
うめきた開発エリアの暫定利用の公募してるよ」
って教えてくれました。

山田さん
山田さん

野坂
野坂
開発が本格化するまでの間、
周辺エリアの賑わいを作るための暫定的に利用しませんか?
という公募ですね。

議員さんから
「うめきた開発について詳しく知りたいなら地域の自治会の会長さんや区役所に聞いてみるといいよ」とアドバイスをもらったので、聞きに行ったりしたんです。

でも「国家プロジェクトだから、わからない」と言われたんですよ。

 

開発の側に住む人が街に関心を持たなくても街が出来ていくんだって思いましたね。

山田さん
山田さん

 

お金もコネもないけど、うめきた暫定利用に応募

いてもたってもいられなくなって、
Facebookで「うめきた開発について語りませんか?」と呼びかけたんです。

そうすると、街で商売されている方や、神戸や京都から13人くらい集まったんですよ。

山田さん
山田さん

細川
細川
2回目から僕も参加したんですが、当時も、今と変わらずパワフルで(笑)

しかも、その「うめきたについて語る会」に参加する前日に、
僕は開発企業が主宰していた「うめきたについて考えるワークショップ」に偶然、参加していたんです。

野坂
野坂
めちゃくちゃタイムリーですね!!

 

そこで、地域というよりは社会との関わりを求めていた私は、
議員さんに教えてもらった「うめきた開発エリアの暫定利用の公募」の話をしてみたんです!

でも、その公募は審査もあるし、締め切りは4日後。

どうせ、審査は通らないだろうと思いつつも「一緒に応募してみませんか?」と参加者のみなさんに声をかけたら、細川さんたちが話に乗ってくれて、4日後の締め切りに向けて動き出したんです!

山田さん
山田さん

野坂
野坂
締め切りが4日後…(笑)

 

細川
細川
そこから、
手をあげたことを後悔する日々が始まりました(笑)

それに、たった4日で練りあげた企画書が一次審査を通ったんですよ!
喜んだのは山田さんだけで、僕たちは「えっまじで?どうする?通ってもうたで。」ってなりましたね笑

 

私たちが企画書に書いた内容は、

「未来のうめきたの街の姿を市民も一緒に考える」きっかけとなることをテーマに、イベント「うめきた楽市楽座」を開くことでした。

フードやマーケットのブースと、音楽系のステージが30以上もある結構大きな規模で…

山田さん
山田さん

細川
細川
勢いで始めたことなので、
お金も人でも足りない上に、街にコネクションもなくて。

そんな状況で、
ほぼ初対面のメンバーで10月に開催予定のイベントに向かって3月から動き始めたんです(笑)

 

来場者数5,000人以上のイベントに

細川
細川
まずは、
「仲間や出店者を集めないとあかん!」
ということで、説明会を開催することにして、またFacebook告知をしたんですが、結構集まったんですよ。1回目が30人、2回目が50人、3回目には130人くらい。

食・健康・こども・地域・防災・芸術の6つのグループに分けて、ディスカッションしました。その参加者の中から一本釣りで出店者さんを集めていきましたね。

さらに大変だったことが、
イベントを運営するお金がなかったことです。

お金を集めるために、企業の協賛を集めてまわっていたのですが、なんせ信用がない。

しかも、開催場所は工事現場の空き地で、インフラも整っていない場所。本当に協賛が取れなくて苦労しました。

山田さん
山田さん

 

細川
細川
そのときの山田さんは行動力には驚きましたよ。

近隣の企業や大学に協賛をお願いしに行くのですが、
1時間喋り続けて、電動自転車に乗って爆速で移動して、また1時間喋り続ける。それを繰り返す山田さん。

僕は、後ろからママチャリで追いかける毎日。
気がついたら、でっかい10円ハゲが出来てたんです(笑)

野坂
野坂
初めての10円ハゲはその時だったんですね(笑)

 

▼2回目の10円ハゲはこちら

変化する小川文化と目が回るプロジェクトがスタート

細川
細川

イベントまで2ヶ月と迫っていた時、
「このままだったら大爆死する、今なら引き返せる!」
って話をしたんです。

しかも、その日は、山田さん夫婦の結婚記念日(笑)

クラファンするにしても手が回らないし、出店者のケアにも手が回らず、当日を迎えたら、とんでもないことになるかもしれないという、手詰まり感を感じていたんですが、山田さんが「やる」と言ったら乗りかかった船、それなら最後まで一緒にやろう!と思って返答を待ったら、

「やる!」
山田さん
山田さん

細川
細川

ということでやりました(笑)

めちゃくちゃ大変だったんですが、
私の中でやめる選択肢はなくて、私たちのように、開発段階から街に関わり市民も一緒にまちづくりに参加したいという人たちの存在を開発企業に知ってもらうことが目的だったので、縮小してもいいから、できる範囲でやるって決めていたんです。
山田さん
山田さん

 

そうやって、
資金集めやイベント準備に追われる日々を過ごしていると、みんなバカンスでもないのに日に焼けて真っ黒(笑)
山田さん
山田さん

細川
細川
そんな紆余曲折あり、
走り回った結果、イベントは無事に成功しました!
あの手この手で集めたお金は130万円。
来場者数は、なんと5000人以上!

覚悟があったから、やり遂げることができたんだと思います。

 

唯一の市民団体は、地域と企業をつなぐパイプ役に

細川
細川
応募した事業者の中で、
最終審査に残ったのは9事業者だったんですが、
その中で市民団体は僕たちだけでした。
僕たち以外は、大手企業ばかり。

その企業さんに、山田さんは「主婦ですから!名もなき主婦ですから!」って手書きの名刺を配っていましたね(笑)

一方で、企業の方たちは、地域の市民とのコネがない。

だから、市民代表の私たちに「一緒にやりましょう!」って、オファーがたくさんきたんです。

山田さん
山田さん

細川
細川
それがきっかけで、
僕たちは企業と地域と繋ぐパイプ役になったんです。

うめきた楽市楽座のイベントで僕は一旦燃え尽きてしまって…数ヶ月は息を潜めていたんですが…

 

私は、イベントが終わった次の日から、走り出していました(笑)

イベントをやった隣の敷地の方と仲良くなり、その場所を使わせてもらって野菜を育てていたんですけど、そうすると梅田地区の方から、「街のお花を育ててみないか?」と声がかかりまた交流が生まれて。

そうこうしているうちに、私はもともと中津の方で活動していたんですけど、梅田を分断してきた線路の東側(芝田、茶屋町、鶴野町)、西側(大淀)のエリアの地域活動をされている人たちともコネクションができて、地域の人との交流が広がっていきました。

山田さん
山田さん

細川
細川
活動していて思ったことは、日本の地域の縦割りの文化。
超えてはいけないという暗黙のルールが根付いていることです。

縦割りも大事だけど、横の繋がりが大切。
私たちみたいな「楽しみながら街に関わる人」が存在することで、地域間を越えてうまく回ればいいなという想いを込めて「うめらく」を立ち上げたんです。
山田さん
山田さん

細川
細川
立ち位置としては、
地元の人は地に根が生えた人、僕たち「うめらく」が、ミツバチのように飛び回って、花粉(情報)をあちこちに届け、保守的だった人が行動するように刺激を与えるような存在です。

次回の記事では、さらにパワーアップ「コミュニティづくり」について掲載予定です。お楽しみに!

撮影場所:うめきた外庭スクエア

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