YORIDOKO TAISHO MAKIN'変化する小川文化と目が回るプロジェクトがスタート
ヨリドコ大正メイキン クラウドファンディング ショートカット不可 ビジネスの勘所 大正シェアアトリエ 空き家活用 10円ハゲ
2020.9.4

大阪の大正区にある「アトリエ+住居+店舗一体」のモノづくりびとに向けた拠点「ヨリドコ大正メイキン」を作る過程についてお話します。

聞き手/文
ヒトト製作所 野坂大
連載アトリエ+住居+店舗一体 ヨリドコ大正メイキン
登場人物

小川
小川合名会社社長。ヨリドコ大正メイキンのオーナー。

細川
当時は小川ビルに入居していたフリーランスのデザイナー。企画全般、広報などを担当。

神吉奈桜
ヨリドコ大正メイキンができるきっかけとなった人物。イラストレーター兼、広報担当。

川幡さん
一般社団法人大正・港エリア空き家活用協議会(WeCompass)。建物の基本的な設計・施工などハード面担当。
変化する小川文化
その後、人魚棟は無事きれいになり、神吉さんはアトリエを始め、そこに人が来るようになりました。区長や区役所の人が来たり…と、大正区の人々をどんどん巻き込みながら徐々に盛り上がっていきました。
神吉さんが、人魚棟に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんと交流したり、絵画教室なんかを主宰して地域の人とも交流するようになりました。

オーナーの小川的には勇気づけられたと思います。彼女が来てくれて、みんなで何かをするとこんなにも場所が変わり、いろんな人が愛でてくれて、『大正の泉尾だからってできないことはない』っていうことを、証明する切り込み隊長になってくれた。
小川文化を残す
この「ヘルプミー」が成功していたころ、オーナーの小川は、この小川文化を残すために、最初は大阪市内のマンションデベロッパーとか土地活用を相談できる会社に相談しに行っていました。ヨリドコ大正メイキンの構想はまだ無かった頃ですね。

当初、僕(細川)はこのプロジェクトに参加していなくて、小川が一人で進めていました。
いろんな会社に相談していましたが、築65年のボロボロの古い文化住宅。
特に北棟は10年以上、誰も借りてくれる人がいない状態。
- 「ここをリノベーションしても収益化出来ない」
- 「更地にして駐車場にしましょう!それなら月にいくら儲かります!」
なんて言われるばっかりで全くうまくいかず。一人で四苦八苦していましたね。「やっぱり、潰した方がいいのかな。。」と、くじけそうになっていたそうです。
そんな時に現れた空き家活用のスペシャリスト集団「WeCompass」
その流れで、大正区長が紹介してくれたのが、空き家活用をやっているWeCompass(大正・港エリア空き家活用協議会)の川幡さん。
この団体は、大阪市大正区および港区の地域活性化のため、空き家活用相談をワンストップで行う専門家の集まりです。今回の「ヨリドコ大正メイキン」プロジェクトの心強い柱です!
空き家の活用に悩んでいるオーナーや利用したいと考えているユーザーの相談の受け皿として、上図のような各分野のプロが結集して2016年に発足しました。(2018年4月に一般社団法人化)
今回のヨリドコ大正メイキンのプロジェクトにおいても、耐震診断、設計、施工といったハード面だけでなく、行政との調整や広報の共同実施、DIYイベントの企画など、ソフト面でも重要な役割を担っていただきました。
細川がプロジェクトに参加
小川は、Wecompassさんと小川文化をどうするか1年くらいかけて話あっていましたね。
なぜか、小川は、僕(細川)に相談しない!


いてもたってもいられず


ここでようやく、細川がプロジェクトに参加しました。
目が回るプロジェクトの始まり
私、細川が参加してから、一気に妄想が膨らみ、川幡さんとも話し合った結果、パズルのように計画がハマって行きました。7月の着工まで、4ヶ月の間でプランと見積もりとスケジュールを詰めたんです。
何十個というストーリー
「ワンテーマ、ワンイシュー」でバンッ!といくのではなく、ストーリーを何十個も同時に張り巡らせてやってしまうのが、僕の思考の癖。自分で計画したんですが、めちゃくちゃ大変でした。
『いかにこのプロジェクトをやるべきか』ってことを「妥当性、必然性、社会性、時代背景」など、いろんなストーリーを盛り込むことでみんなに理解してもらう。
1つだけのストーリーで200人を説得するのは大変やけど、いろんなストーリーを組み込み、1ストーリーに10人が反応してくれるとして、20ストーリーあれば、200人が反応してくれるという計算です。
張り巡らせたストーリーが全部絡みあうので、これとこれが同時に成功しないと次の話に行けないみたいな、それぞれを全部成功させてオンタイムこなしていかないと最後までたどり着かないプロジェクトにしてしまっていました笑
張り巡らされたストーリー
具体的にいうと、ハード面だけでも
- 耐震や建築のプロなど関わる人をストーリーとして配信する
- その関わる人に興味持ってもらうために神吉さんに漫画を書いてもらう
- 工事と漫画が同時進行し、それをオンタイムに配信する
これだけじゃなくて、常にリノベーションに興味ない人にも興味を持ってもらうために、いろんなところからアプローチしていました。

2Fの5部屋の内装をDIYコンテストで公募。

耐震改修見学会の様子。
予算が足りず、クラウドファンディング
実は、プロジェクトの途中で予算が足りなくなり、残りの資金を工面するためにクラウドファンディングもやりました。
クラウドファンディングを成功させるために「大正酒場 天狗と人魚」と題して、工事してた「ヨリドコ大正メイキン」の隣の人魚棟で、オカッパヅラをかぶってワイワイ居酒屋イベントやったりしましたね。
この場所での暮らしの一部を体感してもらい、酔わせたお客さんにクラウドファンディングに参加してもらおうと画作しました笑
プロジェクト全体としては、本当に大真面目に進めていますが、アウトプットはちょっとおバカに。大阪らしい発信でたくさんの方に届けていけたらと思っていました。

トークイベントの様子
クラウドファンディング完了後は、スタンダードブックストアの100人くらい入る会場を借りて、成功報告のイベントも予定していたので、成功しなかったら、そこは懺悔のイベントになってましたね笑
10円ハゲができるほどに
クラウドファンディングを成功させるためには、関心を集めないといけないですよね。1ヶ月で認知度をあげるために逆算するんです。それを頭の中で想像して、いろんなことのスケジュールを決め、人やモノをおさえていかないいけません。
- 建物の工事はうまくいっているのか
- 今誰がどう関心を持ってくれているか
- 神吉さんの漫画の発信がうまく回っているのか
- プロジェクトに関わっている人のモチベーションがうまく保たれているのか
- 大正区との関係
- メディアへの伝わり方
こんな感じたったので、1日で処理し、発信することが多過ぎて、僕の頭には10円ハゲができてました。僕の場合、しんどいというよりも、楽し過ぎてハゲができるんでいいんですけね笑