What's TENCHOS ?わざわざ行かなあかん。そんなお店にしたかった
TENCHOS みんな主役のコミュニティパブ ビジネスの勘所 僕らが考える福祉
2020.8.15
こんにちは、細川です。
今回は食でつなぐコミュニティ パブ TENCHOS(テンチョス)の第1回目。実験的なお店づくりについてお話します。
聞き手/文
ヒトト製作所 野坂大
連載みんな主役のコミュニティパブ TENCHOS
登場人物
小川
オルガワークス社長。接客をしながら、主に世間話を担当。
細川
オルガワークス専務。接客をしながら、お悩み相談を担当。たまにお料理もします。
久保テンチョ
元発酵マイスターの資格を持つ料理人。TENCHOSの全てのお料理を担当。
元でディープな街、兎我野町の端っこ
TENCHOSは繁華街である梅田エリアにある大阪市北区の兎我野町(とがのちょう)という町の端っこにあります。
兎我野町は古い歴史で言うと寺町だったんですけど、今ではディープな歓楽街。
そうは言っても、梅田/中崎町/天満/南森町みたいな強いインパクトも特徴もない街。
ちょうど梅田と天満、中崎町と南森町を線で引いたらちょうど交差するあたりにあるから、最寄り駅が4つも5つあるんです。
つまり、どこの駅からも徒歩10-15分。「最寄りって言っていいんか?」という場所。
行こうと思えば行けるけど、わざわざ足を伸ばしていく場所になる。
わざわざ行かなあかん。そんなお店にしたかった
それで、成り立つお店ができたら「お客さんにとって、わざわざいかなあかんお店にすることができた」ということになりますよね。
天満の駅前で「お店やってますねん」って言えばそりゃあ人来るわ!って感じやし、なんとなく街の勝ちパターンを踏まえれば、なんかできそうな感じがするけど、この場所では勝ちパターンを検索しても出てこない。
勝ちパターンがない場所の雑居ビルの2Fで、さてどうする?
僕が運営しているヨリドコ大正メイキンも、ヨリドコワーキンも、
駅から10分から15分かかる場所でやってきました。
だからこそ、こんな考えが出てきたんです。
この課題を持ち、敢えてこの場所で飲食店をすることで、
「どういうプロセスで店を運営できているか」について、フラットに自分たちのことを理解しながら確認できる!
ありとあらゆる要素を整えないと人はこない
そんな場所に人が集まるようにするには、ありとあらゆる要素を整えていかないと人はこない。
- 常にお店の情報をSNSで出していないとお客さんに届かない
- 店の前を通りがかるだけでは得られる情報は何もない
- 毎週新しい料理を開発する
こんなふうに手を抜けない状況を自分たちで作っていくことにしたんです。
『お客さんがこない = 手を抜いたから』
っていうブーメランが自分たちに帰ってくるようにしとかないとすぐ廃れてしまう。
半年前と同じことして、稼げたらそんなに努力しないでいいじゃないですか。
自分たちに努力を課すために、敢えて面倒な場を選びました。
通りがかりの来店は全体の1%
通りがかりの人が全体の1%いるかいないかくらいで、常連さんが多いです。S N S見て来てくれる人とか、常連さんが連れて来た人が後日来てくれる感じです。
通りがかりのご新規さんでいうと、たまに隣の店で飲んでいたサラリーマンがここならお酒飲めるかも!って入ってくるくらい。
最初の2、3ヶ月は死にかけた
だからオープンした最初の2、3ヶ月目は死にそうでした。初めは知り合いが来てくれたけど、一巡し終わって常連化するかしないかくらいの時が死にそうだったんです。
店の前で、チラシ配ったものの、2Fのお店になんて来ないじゃないですか。手伝ってくれていたスタッフの子にひたすら外でビラ配りしてもらってる時期もありましたね。
敵は、コロナより梅雨
コロナは全然関係なかったですね。ずっとメニュー開発してました。
緊急事態宣言が開けて、「インスタに乗ってたやつ食べに来たよー」って来てくれました。みんな対策はしてくれてますし、家族とか友人に近いから、知らないお店にいくよりは安心できるみたいです。
コロナより梅雨!
駅から10分くらい歩くから、梅雨の時期が閑散となりますね。去年も7月が数字悪かったんです。だからコロナより雨が怖い笑。
売り上げに上限を設定
損益分岐点がありますよね。最低限これ以上は売り上げなさいってやつ。
TENCHOSでは、それに加えて、
これ以上は売り上げてはいけない金額を設定してます。
これを超えるとお店がお店らしくなくなるんです。
超人気店って、店員とお客さんが話す時間がないし、まともに接客ができなくなるから、僕たちは上限を決めているんですよ。この中で売り上げましょうって。
人数制限ではなく、プロモーションの仕方
お客さんの人数制限なんかをするわけではなくて、
プロモーションの仕方を工夫してます。
普通だったらテレビに出るようなメニューを出して、行列のできるお店を作って回転率が重視するでしょ。
僕たちテンチョスは常に淡々と必要な情報を出して、必要な数のお客さんに来てもらう。
今、自家製のコーラ作っていて、それをきっかけにテンチョスに繋がってきてくれる人がいるんですけど、もしそのコーラがテレビに取り上げられて、たくさんのお客さんが来るようになったらちょっと困るんです。
だから、そうならないくらいのプロモーションをしてます。その中で来てくれるお客さんがいたら、面白いお客さんだと思ってます。
緩やかな成長曲線がとても大事
これは飲食のセオリーだと思うんですけど、
急に流行ったお店は潰れることが多いけど、じわーと上がったお店は続きます。
理由は、流行りすぎると、常連さんがお店に入れなくなり、人気が落ち着いた時には、常連さんは離れてしまっているから。
緩やかにあげて緩やかにキープする。緩やかに落ち出したらちゃんと次の手を打つ。直角に落ちたものを戻すのは難しいから、成長曲線を緩やかに描くのは会社として、とても大事。