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HOP & COMMUNITYうめきたホップ栽培でコミュニティ作り。市民側からも発信して街に関わる。

コラム うめきた開発 うめらく コミュニティの作り方 街づくり 街に関わる

細川 細川

コミュニティーオーガナイザーの山田まりこさん達と一緒に「うめきた開発について一緒に考えよう!」と地域住民に投げかけるためのイベント「うめきた楽市楽座」を開催し、地域コミュニティを活性化するための活動のその後です。

ビール好きが高じて「ホップ栽培でコミュニティを作る」をテーマに活動をパワーアップさせ、全国に仲間を作り、ついには地域のブルワリー作りに携わるまでに至った山田さんの活動。

うめきたの街びらきまであと3年。

これからは地域住民自身が地域の魅力を発信し、企業や行政、街とフラットにつながる関係になることが大切です。

ぜひ、最後までご覧ください。

聞き手/文
ヒトト製作所 野坂大

登場人物

山田まりこさん

山田まりこさん

うめきたや中津など大阪市北区を中心にコミュニティの活性に向けて活動しているコミュニティオーガナイザー

細川

細川

オルガワークス専務。あらゆるプロジェクトを企画。

うめきたでホップを育て始めたら、コミュニティが生まれた

〈聞き手/野坂 大(ヒトト製作所)〉

野坂
野坂
前回は、
うめきた開発エリアの暫定利用で実施したイベント、うめきた楽市楽座から、地域の横の繋がりを作る活動までをお伺いしました。

その後はどんな活動されたのでしょうか?

2年目からは、街に関わること、それも楽しいことをしたかった。
そこで、私はビールが好きなのでホップを育てることにしました。
山田さん
山田さん

野坂
野坂
ホップって、ビールの原料のあのホップですか!?

はい。

当時は、小さなタンクで街の人がクラフトビールが飲めるマイクロブルワリーが流行り出した時。

それに、うめきたは「緑とイノベーションの開発拠点」というテーマで生まれ変わることが決まっていたことと、マンションの多い都会ではコミュニティがなく人間関係が希薄なのが地域課題だと聞いていたので、ホップでコミュニティをつくれたら楽しみながらみんなが集う場がつくれると思って始めたんです。

山田さん
山田さん

細川
細川
ホップは通常、寒冷地で作られるんですが、
そのホップをうめきたで「作ろや!」ってノリで、始めてしまうところがすごい!(笑)

ホップづくりのことをSNSで発信したら、
たまたまマイクロブルワリーを立ち上げたばかりの方から「本当にうめきたでホップを育てられるなら、うちでビールを作らせて欲しい!」とビデオレターを頂いたんです!
山田さん
山田さん

野坂
野坂
すごい!

 

 

コミュニティ化するホップ栽培

まずは25株植えて、毎日水やりして、収穫までできたんです!

その時、ご近所の主婦の方で一緒に水やりや、
作業をお手伝いしてくれる人がいたのでできました。

きっと一人ではできなかったことですが、
最初はそんな小さなコミュニティでした。

そして、ブルワリーに4キロのホップを持ち込んで、ビールが完成しました。

2年目からはさらに75株に増やして、栽培を続けました。

山田さん
山田さん

細川
細川
活動を続けていると、ホップを通じて、
離れた地域の方や同じ活動をされている方とコミュニティが出来てきたんです。

細川
細川
その頃、
僕は山田さんのマネージャー的な役割になっていましたね。
山田さんはコミュニティを作りたいのに、人を見る目がなくて(笑)

マネージャーの僕が「この人いい!」「この人はダメ!」って判断してましたね(笑)

街に関わりだしたころは、
横やりが入ったりといろいろ疲れることも多かったのですが、その時、細川さんの人生相談で救われていました(笑)
山田さん
山田さん

細川
細川
山田さんは、
ホップ作りを始めた頃から地に足がついたと思います。

うめきた楽市楽座をやっていたころは、
「やりたいことはないけど、想いがある!」とフワフワしていたんです。

ホップを育て始めて、仲間が増えて、成果物ができ上がることで、プロジェクトを通して山田さんのしたいことが理解しやすく、応援しやすくなりました。

 

うめきたで育てたホップは全国へ「THANKS HOP」

うめきたの暫定利用の満期を迎えて、
育てていたホップを移動することになったんです。

そんな時、
私の活動に賛同してくれた緑化事業の会社さんが、「一緒にやろうよ!」といってくださり、管理されているあべのハルカス農園にホップをうめきたから移動させ、継続して育てる環境を作ってもらうことができました。

山田さん
山田さん

野坂
野坂
ハルカスの屋上ですか!

日本一高い「あべのハルカス」にある屋上の農園 あべのハルカスファームにて、2019年フレッシュホップ最後の収穫!

そして、「社会的価値の高い活動だから、うめきたから全国に広げませんか?」とお声がけいただき、この活動を全国に広げるためにTHANKS HOPと名付けて、感謝の循環を広げていくチームを一緒に作ったんです。

今年は全国約30箇所でホップからつながるコミュニティが誕生予定です。

山田さん
山田さん

細川
細川
さらに、
その会社さんが社内ベンチャーを立ち上げて、中津のビルの半地下スペースにビールを作るブルワリーを山田さん達と共に作ったんです!

ブルワリーを作るにあたって、
「地元に貢献したい!」とそのビルのオーナーさんが駐車場スペースの一部を提供したりと、想いに共感する方々の情熱が高まっていくようすがとても素敵でした。

2017年にスタートしたホップづくりは、
いつの間にか多くの方を巻き込み、大きなうねりを作っていました。

2016年、当時は誰もまともに耳を貸してくれなかった存在だったのに。
3年間諦めずに行動し続けた山田さんをとても尊敬します!

 

THANKS HOP
https://www.thanks-hop.com/

 

まずは3年。自分の「時間・お金・アイデア」を投資し続けられるかどうか

細川
細川
どんな活動や事業も、
まずは3年間、投資という意識をもって取り組むべきだと思っています。

「これだ!」と思ったことに、
自分の「時間・お金・アイデア」を惜しみなく注げるか、その情熱が大切だと思うんです。

自分の中から溢れ出してくる、
そういった「資源」「資産」をまずは自ら差し出せるのか、そして、それを最低3年間投資し続けることができるのか、なかなか大変なことではありますが、自分の未来を創るというのはそういうことだと考えています。

5年前、初めて山田さんに出会った時、
「僕はこの人に、僕の持ってるものを最低3年は投資し続ける!」と決意し、それを山田さん本人にも伝えました。

それくらい、山田さんという人には特別な力を感じたんです。

そして、僕の目には狂いはなかった(笑)

まずは3年、
がむしゃらに走ってみることでやっとゼロ地点に立てる。

未来のことを考えすぎるよりも、
まずは目の前のことを1つずつ、地道に一つ一つやっていくしかないと思うんです。

目標を立てることは大切ですが、
今の世の中はすごいスピードで変化していくので、常に修正を加えながら「今やるべきこと」を実直に行動することが大事ですよね。

山田さん
山田さん

細川
細川
「何かしたい!」と思っていても、
投資するのはハードルが高いじゃないですか。

山田さんはそれを超えてきたことで、今があると思うんです。

 

成熟するブルワリーは雇用の場に

ブルワリーは、新しい価値作りを目指しています。

私のように子育てしながらもやりたいことを諦めず、職住一体で、子育ても仕事もやりがいを感じる「地域雇用の場」をつくり、地域で働ける人を増やしたいと思っています。

ブルワリーが、地域の雇用の場になったり、地域の人が集まる場になったり、地域の情報発信や収集の場所になることを目指します!

山田さん
山田さん

細川
細川
他にも、フードロスの食材を売るミニマルシェをしたり、
ビールの仕込みをしている様子を見ることができるんです。

企業のビルなのですが、
境界線を曖昧にして、人が集まりやすくなっているんです。

 

コミュニティがつながると人が循環する

細川
細川
地域でそれぞれに情報発信を熱心にしながら活動していると、
お互いに作っているコミュニティ同士が繋がっていきながら、街に網目状の人の縁が広がっていくのを実感しています。

SNSなどで情報を見ていると、
山田さんが開いたマルシェに行ったついでに僕たちのフリマイベントに遊びに寄ってくれたりとか、そのまた帰りに近所の知り合いのお店に寄ってくれてたり。

それまではコミュニティごとに別々の活動、
別々の人々、という印象が強かったのが変化していっています。

活動してわかったのですが、
この街にはコミュニティがたくさんあるんです。

けれど、それぞれが定期的に情報交換をしたり、
時には協力しあって何かをするということがあまり見られません。

 

だから、うめらくは地域間だけじゃなく、コミュニティ間の繋げ役として活動しています。

山田さん
山田さん

 

街には私たちみたいな、コミュニティを繋ぐ活動をしている方が多くいます。

でも、繋げ役がコーディネートしても、
その人を外してビジネスが始まって、全くお金が入らず、想いだけではやっていけず疲弊していってしまうんです。

私みたいな社会活動家の方が潰れていくのをたくさん見てきました。

山田さん
山田さん

細川
細川
想いがあっても、
ガソリンが切れてしまって、活動が続かないのが現状なんです。

だから、自分の役割として、

街の人に「繋げ役の人も循環の輪の中に入れてください」と、はっきり言うようにしました。

そうすると、少しずつですが資金を用意してくださる理解ある方が増えています。輪を広げてくれるようになってきています。

山田さん
山田さん

 

うめきたの街びらきまで3年。市民が発信し、価値観を提供していく

細川
細川
うめきたの街びらきまで、あと3年。

今までの近隣地域と調和し成熟した「1つの街」になるには、僕たち市民一人一人が、自ら考える「豊かな暮らしについて」それぞれが発信していくのが大切だと思います。

企業や行政に頼り切っているのではもったいない、
自分たちも負けじと声をあげることで様々な立場の人たちがフラットな関係を築けるのです。

そして、
再開発を先導してくれている企業や行政の皆さんもそれを待ち望んでいると思います。

再開発に携わる企業さんが、
近隣地域の住民と関わろうとすると、まずは各地域の会長さんに挨拶に行くのですが、その先の1人1人の住民と直接繋がるというのはとても大変で。

暫定利用事業や、
イベントをさまざま開催していますが、一筋縄でいかないのが現状でもあります。

だからといって、
地域住民がまちの移り変わりから置き去りになるのはよくないことですよね。

山田さん
山田さん

細川
細川
そういう状況の中で、
山田さんのように地域の中で活動しながら「こんな想いを持ってるよ!」と声をあげながら走り続ける「顔の見えるプレーヤー」の存在はとても大きいと思います。

山田さんあるある話ですが、
山田さんに重要なお話を伝えると、数日のうちには数十、数百人の人たちに情報が伝わる、まさに回覧板的であり、拡声器的存在です(笑)

そういう役割を担うときに、
私がいつも気を付けていることは、街を縦割りに考えず、水平展開する柔軟さを持つことです。

それに、街にはいろんな考えや立場の人がいるので、「全員でせいの!」は無理だとしても、お互いに尊重しながらまちの未来づくりに関わる一員であり続けたいと思っています。

山田さん
山田さん

細川
細川
近隣地域側から再開発のようすを見ながら、
携わる企業さんの大変さも十分に理解してくることができました。

企業や行政、
住民の間にはいつの時代も目に見えない溝が生まれがちです。

だからこそ、
山田さんのような住民と企業や行政の間で活動する人、「街の潤滑油になれるプレーヤー」が増えていって欲しいと思っています。

これまでの5年間と同じように、
引き続き山田さんの活動を応援しながら、ガンガン投資していきたいと改めて思いました。

山田さん、今日はお忙しい中お時間いただき、ありがとうございました!

 

撮影場所:うめきた外庭スクエア

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