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INTERVIEW:オルガワークス細川古い長屋を再生して多様な⼈々が⾏き交う心の拠り所に。新しい福祉施設「ヨリドコ大正るつぼん」

ヨリドコ大正るつぼん ヨリドコ大正メイキン 僕らが考える福祉 空き家活用

細川 細川

一般社団法人大正・港エリア空き家活用協議会(WeCompass)の川幡祐子さんにインタビューしていただきました!

⼤正区泉尾のヨリドコ⼤正メイキンのとなりに古い⻑屋が、⻑らく空き家のままでしたが、このたび再⽣をして、⽣まれ変わることになりました。第⼀回⽬のお話は、新しい建物の管理運営を担う私、細川のお話です。

聞き手/文
WeCompass 川幡祐子

WeCompassのメンバー。一番左が川幡さん。

WeCompass(大正・港エリア空き家活用協議会)の川幡さん。

WeCompassは、大阪市大正区および港区の地域活性化のため、空き家活用相談をワンストップで行う専門家の集まりです。「ヨリドコ大正メイキン」や「大正るつぼん」の建物の基本的な設計・施工などハード面担当。

ホームページ:https://wecompass.or.jp/

多様な⼈々が⾏き交う場所「大正るつぼん」

川幡
川幡
まずは、新しい福祉施設の名前を教えていただけますか?

名前は、「⼤正るつぼん」と命名しました!
細川
細川

川幡
川幡

⼤正るつぼん!どういった由来なんでしょうか?

るつぼんは、「るつぼ」の意味ですが、「るつぼ」で思い出さされるのは、「⼈種のるつぼ」という表現です。

意味は多種多様な⼈種がとどまったエリアや場所で、大正るつぼんが、多様な⼈々が⾏き交う場所をイメージして名づけました!

細川
細川

「⾏き交う」は「交」ですが、「混じる」と「交じる」は違うと思っています。

「混じる」は、⾚と⻘を混ぜると紫になるイメージ。

交じる」は、点描画のように、⾚と⻘は別々に存在するんですが、少し離れてみると紫に⾒えるような、そんなイメージなんです。

細川
細川

川幡
川幡

大正るつぼんでは、どう「交じる」のでしょうか?

すべての人は、それぞれ固有の特性、嗜好、価値観を持っていて、それが個の尊厳でもあるんです。

赤は赤として存在し、青は青と存在するように、個を尊重しながら、この場所で交わることで、お互いの嗜好や価値観が刺激しあって、新しいものが⽣み出されると思っています。

でもそれは、誰かが誰かに全⾯的に従ったりすることで⽣まれるものではないと考えています。

細川
細川

 

心の拠り所になる「新しい福祉」

川幡
川幡

今回の建物のコンセプト「新しい福祉」について、経緯からお聞かせください。

コミュニティパブ TENCHOS がきっかけになりました。

2017年に、⼤正るつぼんに先⾏してヨリドコ⼤正メイキンを作り、翌年の2018年にコミュニティパブ TENCHOS というお店をオープンさせました。

細川
細川

場所は、梅⽥と南森町の間のエリアで、⼀⼈でもふらっと⽴ち寄り、お酒や晩ごはんを楽しめる場所です。

TENCHOS のカウンターに交代で私と⼩川がバーテンとして⽴っています。

細川
細川

川幡
川幡
オープンして4年ですが、やってみていかがですか?

なぜか話しやすいと⾔ってくださり、会話を楽しんでいただくお客さんも割といるんです。

TENCHOS のカウンターに立つようになって気づいたことは、仕事に関する悩みごとやしんどさを⼝にされる⽅が多いということでした。

細川
細川

川幡
川幡

どういった方が来られるんですか?

どういうわけか⾏政の⽅や福祉関係の⽅が多く⽴ち寄ってくれます。

仕事柄、困った⼈々をサポートするのが役割の方達です。

でもその⽅達にも悩みごとはあって、それを話したりアドバイスをもらったりすることが⽇常的になかなか叶わないのだということを知りました。

国の政策は、基本的にはサポートを必要とする⼈をカテゴライズし、その中にはまるとサポートをしてもらえ、そこから外れている⼈はサポートをされないんです。

細川
細川

当然ながら⽇々の職場や⽣活の中で誰だって悩みごとはできます。

特に、⼈をサポートする仕事に従事している⽅は、相談者の悩みごとが深刻であることが多いようです。

大きな悩みを受け⽌めはするものの、では⾃分のことを相談できる第三者がいるかといえばそうでもなく、⾃分のことはついつい疎かになっちゃうんです。

細川
細川

⼀昔前のように地縁社会があったときには、近くにお節介なおばちゃんや地域の寄り合いで顔を合わせる⼈がいて、さりげなく話を聞いてもらう機会があったわけです。

でも、職場でも⾎縁でもない⼈たちと話す機会がだんだんとなくなりました。

さらに、コロナによって⼈と⼈とのアナログなつながりが薄まり、困っていてもどこにも言えない⾟い⼈が結構、いるんじゃないかと思っています。

細川
細川

川幡
川幡

TENCHOSにはそういう方々が来られていたんですね。

はい。

TENCHOS での経験から、政策の枠組みから外れる⽅について、サポートをするような、それを包含する福祉が必要と感じるようになりました。

それを、私たちが所有する⼤正の物件でやってみようということになったのです。

細川
細川

 

改装費が高騰する中、あえて古い長屋再生に踏み切った理由

⼤正るつぼんでは、地域に住む⼈々が気軽に⽴ち寄れ、会話や⾷事を通して交流を深め、場合によってはお困りごとや悩みごとを相談できる場にしたいと思っています。

集まるテナントは、福祉関係はもちろんのこと、カフェやレストランといった飲⾷関係も考えています。

細川
細川

川幡
川幡

ワクワクしますね。

今回も古い長屋を立て替えるのではなく、再生されるとお聞きしました。

建物は古くなればなるほど、単なる箱ではなく、有機体のようになっていくと思っています。

建物が新しい時はエネルギッシュな佇まいですが、時を経て古くなり、そこに住む⼈や働く⼈の暮らしや⽣業が表出して味わいが出てくると、どっしりと地域に根を張った雰囲気が滲み出てきます。

細川
細川

壊してしまうことで、そこに住む⼈々の記憶の中にあるものが消滅してしまい、地域にとっても、残念なことだと思うんです。

今回「新しい福祉」をテーマに取り組もうと考えた時から、新築ではなく古い建物を再⽣してこそテーマに沿った空気感が出せると考えました。

細川
細川

川幡
川幡
改装費も高騰する今、なぜ再生に踏み切ったのですか?

古い建物を再⽣すると決まるまでの5年の間に、2018年には⼤きな暴⾵⾬がやってきました。

建物が暴風に耐えられたこと、一緒に再⽣するメンバーが揃ったことが、この事業をやることを後押ししてくれました。

細川
細川

川幡
川幡

それは大きな後押しになる出来事ですね。

事業収⽀を⼼配してくださって、「採算性が合わないのでは」「新築でやる⽅が効率的では」というご意⾒をくださる⽅もいます。

それは確かにそうですが、古い建物を活⽤することに意味があり、⽬先の事業採算だけでは得られないものがあると思っています。

細川
細川

川幡
川幡

事業採算性は重要ですが、それだけではないですよね。

オルガワークスが⽬指すのは電卓で叩いたらわかる事業採算性だけでないんです。

古い建物を活用するということは、数字ではすぐには⾒えてきませんが、後々返ってくるものがあると思っています。

細川
細川

 

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